残留農薬の規制に関する「ポジティブリスト制度」
-周辺の他作物への農薬飛散対策が必要となります-
わたしたち生産者が作物を栽培する上で使用している農薬は、食品衛生法(厚生労働省)により農作物の残留農薬基準が定められていますが、現在は登録のある農薬のおよそ6割しか残留農薬基準が設定されていません。 このことから、国は 平成18年5月29日より すべての農薬、食品(作物) に基準値が設定(ポジティブリスト制度)し、国産農産物の場合は、地方自治体(保健所)が市場等からの収去検査により残留検査を実施し、基準値を超える農薬が残留する場合は、その食品の流通を 禁止(回収・廃棄命令) します。
※販売された農産物・加工食品が対象です。
農薬の使用量や希釈倍率、使用時期など、農薬を適正使用しても残留基準値をオーバーする場合があります。それは、散布した農薬が近接する他作物へ飛散(ドリフト)して残留するケースで、加害者にも被害者にもなりうる可能性があります。
粉剤 が一番風の影響を受けやすいことから飛散しやすく、液剤も風向きによっては近接作物に飛散する危険が高まります。
軽量小型で 表面積の大きい葉菜類 (こまつな・チンゲンサイ・リーフレタスなど)は、飛散した農薬が付着しやすく一番危険ですし、 そのまま食する果菜類 (ピーマン・ししとう)も危険です。逆に 皮をむいて食べるもの (スイートコーン・そらまめなど)や 穀類 (玄米・大豆など)、食用部分が 地下部 にあるもの(いも類、だいこん、たまねぎなど)は危険度が小さくなります。また、残留基準値0.01ppmの「一律基準」を適用された作物も危険度が高まります。
農作物に残留した農薬は、時間の経過とともに分解されて減少していきますので、近接作物の 収穫時期が近い ほど残留する可能性は高くなります。
同一の農薬でも残留基準値の異なる野菜等を植え合わせている場合、飛散することによって残留基準値オーバーとなる危険があります。